ルールを破るということー受けて良かったレッスンにするために 52018年07月17日 16:53

こんな私なのだが、
結構ルールには忠実派だ。
(何しろ、楽譜に忠実に歌う仕事だ。)


守らないのを見かけると、
心がぐしゅってなるし、
目が見開かれるし、
むっともする。

しかし、世の中、
いろんな方がいて、
いろんな判断がある。


だからこそ、ルールが必要になるわけだ。


これは卵と鶏のように、続く話。



さて、
大学でのレッスンは一コマ90分。
例えばあるクラスは、この間に6人レッスンする。

ざっと割って、一人15分。


と思ってレッスンをしていると、
私は、全員のレッスンが終わらないのだ。
ずーっと困ってた。



だから、一人10分で
タイマーを鳴らすことにした。


オーバーするには、
余り気分が悪くないだろう、と思うから。
そして、後の5分ぐらいのゆとり分で、
その日、重大案件を攻略する学生や、
質問や、何やらを解決する。つもり。。。

例え、練習を一切してこなかった学生も、
10分間は、一緒に練習する。
初見練習、数え練習、歌練習。。。
やれることはたくさんある。




そもそも、個人レッスンなのだ。
各学生の個性、進度、理解度、感性、等々、
どの学生も、毎回15分間できっちりと終える、
なんて、私には至難の業だ。


ヨーロッパでは、
曲の途中だろうと、
時間が来るとそこですっぱり終える、
という先生や指揮者は多いように聞く。
これなら、シンプルだ。



しかし日本人にはなじまないように思う。
私には、何故かなじまない。


なので、私なりの工夫の結果、
全員公平に少し短めに設定し、
場合に応じて、長くする。
同じ学生だけが長くならないよう、
15回分全体で、ほぼ同じぐらいに感じてもらえるようにする。



これは、私にとって、
ルールを破ることだった。

正し、良い方に。

こんなこと、普通は軽々とできるのだろうけれど、
私には、大発見だったし、
ほっとしたものである。



今なら、ちょっと笑っちゃうぐらいなのだけれど。。。




今日の写真は、
ダリの絵にある時計を実物化?したもの。
面白かったので。
。。。ちょっと欲しい。。。

受けて良かったレッスンにするために 42018年07月09日 23:48



今日は、一年生のレッスン日。


一人目が、山場にさしかかっていて、
ちょっとレッスン時間が長くなってしまった。


二人目は、同じ所がどうしても弾けなくて、
ここで練習を始めていて、
終わるタイミングが難しく、
やはり長くなってしまった。


例によって、
後の方の学生のレッスン時間が、
短くなって行く。


とうとう、最後の学生は、
チャイム5分前で始まり、
休み時間に食い込むことになってしまった。

申し訳ない。。。


すると、
「○チャンのレッスン見たい。
一緒に入って良い?」
「○チャンが良いって言ったらいいよー」

ということになって、
二人見学者が入ることになった。



バイエルは滞りなく済んで、
弾き歌いは、「どんぐりころころ」。
そこで、○チャンは言った。
「はい、みんなで歌って」

おおー
なんと自然な流れ。


そして、「いいよー、歌う歌う」という見学者たち。


この○チャンは、とても良く弾ける。
そして、センスが良い。
勘も良い。
そして、ちゃんと練習もする。


だから、このような流れになっても心配ないし、
このような流れを自然に作れるのだろう。



そこは、小さな教室になった。



受けて良かったレッスンって、
私が提供するだけじゃないんだな、と思う。

受講者が作る部分もあって、
それは結構大きいことなのだ、
と気づかされる。



いろいろと。。。
将来が楽しみである。

受けて良かったレッスンにするために 32018年07月05日 23:51



昨日の良かったことをもう少し。


男子である。
彼も、ピアノに不安がある。
何しろ、プライベートでも先生についているんである。
学校のレッスンに合わせて、
お稽古してくれるそうだ。
ありがたいことである。


彼もまた、
本当に丁寧に、
一生懸命に、真面目に練習してくるんである。

しかし、昨日はやはりお疲れモード。
しかも、実習中であったわけで、
いつもの練習ができなかった。


申し訳なさそうに来るんである。


しかし、これはチャンスなんである。



私はこんなとき、初見奏を提案する。
初めて見る楽譜を、弾くんである。


彼は実習前に一曲、試してあった。
その裏面の曲。

実は、この曲。
右手と左手が全く同じメロディー-を弾く。
これはポイント1。


そして、私と連弾するんである。
これがポイント2。

一緒に弾くと、
曲は4手分になるんだから、
シンプルな曲もちょっと豪華に、
かっこよくなる。
弾いていて気持が良い。
そして、二人だから、楽しい。

そう。
二人とも一緒に数えていないと、合わないんである。
楽しくなくなるんである。。。


と言うことで、
疲れた彼は、ぼーっと言われるままに弾く。
数えて弾く。
もう、キャンペーンも5ヶ月目になると、
習慣化する学生がいるんである。
彼のように。



あれ、1回で弾けちゃったね。


ね、かわいい曲でしょう?
子守唄。


あなたの良い所は、
テンポが変わらず、最後まで弾けること。
ちょっと不器用で、テンポ良く弾くのは、
まだ苦手っぽい。

でも、保育士さんの卵たちは
むしろゆっくり弾く練習をした方が良いのではないか?

速く弾くのは慣れればできる。


でもね、年齢に合わせて、
或いは授業内容に合わせて、
例えばリトミック的に使おうとすると、
ゆっくり弾く必要が出てくる。

数えて弾けてないと、
ゆっくり弾くことが難しかったりするんである。

驚くことには、ゆっくり弾くって、
どうすれば良いかわからなかったりするんである。
ちょっと不思議なようだが。。。


そして、あなたは今、新しい曲を初見で弾いた。
ね、これが今の実力です。
ハ長調であること。
四分の三拍子であること。
私と合わせようとする事で、自分の音だけでなく、
もう一つの音をきく耳の使い方ができたことにもなる。
そして、世界レベルで弾いたことになるんです。




ここまで、私は一気に話した。

彼はやっと、
ちょっと嬉しそうにはにかんだものである。


バイエルの真ん中ぐらいでも、
世界レベルの曲に仕上げられるんです。

彼が、しっかり数えられるからです。



ここまでになるのに、
あなたはとても頑張ったことと思う。
あと1ヶ月。
約束通り、
私は、一緒に数えるからね。
とても面倒なことだけれど、
ここは一つ、がんばろうね。

受けて良かったレッスンにするために 2 八分音符と十六分音符を弾きわける2018年07月04日 23:07

今日は、学校でのピアノレッスンの日。

二年生は、2週間保育園実習に行ってきたところである。


学生によっては、昨日まで、という日程のこともあり、
お疲れモードではある。



この4月から受け持ったKさんは、
ピアノ初心者で入学した。
私との1回目の授業では、
「ピアノは弾けません。わかりません。」
と指が震えていたものである。


しかししかし。
とても丁寧に練習をしてくる学生で、
実習前に、タイミング良く「朝の歌」が、仕上がった。
「せんせいおっはよ  みっなさっんおっはよ」
の曲である。

「これ、弾かせて頂けるチャンスがあるといいね」
「でも、保育園だから、ないかー」
「弾ける?ってきかれたら、はいって言えるねー」
と話していたら、
なんとチャンスが来たんである。

「朝の歌、弾かせて頂けたんです!」
「褒めて頂けて、何日か続けて担当できたんです」
「なんか、他にも頼まれたりして。。。」
と、ほんとに嬉しそう。

ほお。。。
顔がきりり としているよ。
自信を持って帰ってきたんだね。


「じゃあ、またこの曲聴かせてくれる?」

すらすら、と弾くんである。
経験と自信に裏付けされ、
ますます上手になっているではないか。。。


が、しかし。
この曲は、後半の「おーはよ おっはよー」
の所に、ポイントがある。
1カ所だけ、八分音符の所があって、
楽譜通りに弾くとなると、
他の、付点のペアの十六分音符とは弾き分けねばならない。

で、今、彼女は全てを十六分音符で弾いた。
そう。
現場では、この方が多いと思う。
別に不都合があるわけではないんである。
慣習的に、もう、そうなっていたりするわけで。

でもでも、試験となると楽譜通りが大事になる。


4月から、
私たちは「数えましょうキャンペーン」中なんである。
世界レベルで弾くんであるからして。。。
そして、彼女は、ずっとそれをしてくれている。
このはなしは、すぐに理解してくれた。

その場で、
これが付点のペアが全部十六分音符の場合、
で今度は、楽譜通り、
と弾いてくれる。


すごい!


これがあなたの今の実力です。
あなたの財産です。
どっちにも対応できるじゃないか!



あなたが正しく弾き歌うだけで、
それはもう、教育になるのだと思う。
大きな力なんです。
大きな支え。
あなたはそれができる。


実は今日、他にも良いことがあった。
学校の仕事、私気に入ってるんです。
一人一人短い時間だけれど、
良い時間。

ありがとうありがとう。

保育士に必要なピアノ力って?2018年06月26日 23:02



これって、以外と勘違いされていることと感じています。


「ピアノが弾ける」って、
大きく考えて2種類あると思います。

1 ピアニストのように弾く
2 伴奏ピアニストのように弾く



保育士さんは、2 です。
1 のように弾けたとしても、
保育の現場で使うには、
弾き歌い、伴奏として使う、
もちろん 2 の方ですよね。



だから、
ピアニストのように
弾けることが必要なわけではありません。

(日本では、伴奏ピアニストという仕事が、
わかりづらいかとは思うのですが。。。
余りいらっしゃらないし、
ピアニストと分けて考えることが
まだ余り広まっていないようにも感じられます。
これについては、また改めて書きますね。)



保育士に求められるピアノ力は、
主に、子供たちが楽しんで歌えるためと言えるかと思います。

だとすると、
例えば、
楽譜と首っ引きで、
周りも見ず、
楽譜通りに、ただ強弱を付け、
速く弾く、
などということは、
子供をサポートしたことにはなりません。
まず、自分も楽しくない。


シンプルなアレンジでも良いから、
楽しそうな子供の顔を見つつ、
臨機応変に、
年齢や、授業内容に合わせてテンポを変えられる。
次に、できればアレンジも変えられ、
できれば、無理なく美しく歌えるように
キーもチェンジできる。
このような力が大切だと思います。

だから、バイエル途中程度であっても、
できることはたくさんあります。
言ってみれば授業力。
子供引張り力。
こちらが大事です。
だからピアノ力はツールです。



果てしなく、
むつかしいことを学んでいるわけではないんです。

できるだけ手っ取り早く、
ルールを理解し、覚え、
バイエルの三分の二程度まででも良いから、
世界レベルで弾けること。
世界レベルというのは、
ちゃんと数えながら弾けることです。
むしろ、この力がとっても大事と感じます。

ベートーヴェンのソナタが弾けても、
数えて弾けなければ、ローカルレベルです。


数えて弾けますか?


。。。結構むつかしいでしょう?
でもこれできないと、
お遊戯、指導できないと思うんですよね・・・

行進の指導で、どの拍が左足か?
太鼓で叩けないってことですよね。。。


ね!大事でしょう?