速さを決めるとき2017年07月03日 22:36


この楽譜の上の方に、
四分音符 = 120

と書いてあります。


これは何を表しているのか、
ご存じですか?

これは、速度記号と言います。
今から演奏する曲の速さが指定されています。

四分音符を、1分間に120回打つ速さ、と言うことです。

(ちなみに、一秒に2回の計算ですね。
マーチ、行進曲の時に良く出てくる速さです。)




さて、400年ぐらい昔の楽譜には、
書かれていないことが多いです。
書かれている場合は、
出版社が参考として書き込んでいることもあります。



1800年半ばぐらいになると、
作曲者自身が書き入れていることが多くなります。

楽器の性能が上がったことで、
豊かに表現できるようになり、
作曲者が細かく指示できるようになったんですね。


そこで私たち演奏者は、
「作曲者はなぜ、この速度を指定したか?」
と、探っていくことになります。

不思議なことですが、
同じ120 であっても、
ニュアンスが違うこともあります。
人が演奏するので、
若干の振れ幅があって、
それも含めて、
個性が出る、出せる所でもあります。


メトロノームに合わせて、
きっちり演奏できることも
大切な基礎練習なのですが、
そのきっちりした感覚の上でなら、
ニュアンスを感じ取った、
振れ幅がある速さ、
が、むしろその方が
心に届く音楽だったりもします。


ここに、生で楽しむ醍醐味もあるんですよね。


たった一つの記号ですはありますが、
いろいろ探って、感じて、
私たちは演奏する速さを決めています。